タイミングよく?

大人になってよいことは、クレジットカードを持ててネット通販ができること。老後の蓄えを気にしつつも、冷凍のスイーツを主に自分宛に送りつけている今日この頃(そう言えば、自分の世代は「巣ごもり世代」であるととある産業新聞に書かれていて、月の貯蓄は10万円、車にも乗らず飲みにも行かず、家の中でささやかな楽しみを享受している、というような説明を読み、なんか嬉しいようなほっとしたような、とにかく嫌ではなかった感じを覚えている。だよね、みんなそうだよね〜という、何これ安心感?)。昨日も昨日とて北海道の特選スイーツが冷凍便で届いたばかり。しかし今日も宅配便の不在連絡メールが入っておりました(配達にきたというその時間私は確かに家にいて本を読んでいたはずなのに、チャイムは聞こえなかったんだよなあ…。こういうのが2回目で、不信感を抱き始めました。どうでもいい)。うちにくる荷物といえば、自分が頼んだ通販しかない(さみしいな)。また通販頼んだ記憶はないんだが、なんだべ。もしや、一人暮らしの子供に親が送るというあれだべか。一人暮らしを初めて早一年以上、一向になかったども、ようやくきただか…と期待しつつ再配達を依頼。程なくやってきたその包み…でかい。でも軽い。品名は…「夏の感動100冊」当選者賞品在中優秀賞。
「なんじゃこりゃー」と、宅急便のお兄さんがまだ遠ざかり中にも関わらず叫んでしまいました。

そういえばこの夏、auダ・ヴィンチの企画で、やり玉…ちがう、対象になった何冊かの本の紹介文を読者から大募集、というのがあって、確か恒川光太郎の『夜市』について書いて出したんだった。すっかりと忘れていた。もちろん内容については記憶にございません。ちなみになぜ夜市かというと、他の対象作品で読んだことあるやつが『ガダラの豚』とか『空中ブランコ』とか『クライマーズ・ハイ』とか、『死神の精度』とか、『博士の愛した数式』とか、『流星ワゴン』とかしかなかったから。有栖川とか法月は対象作品に入ってなかったのだ。ちなみに、最優秀賞でないところがまたなんとも痛い。

子供の頃から読書感想文は苦手だったなあ。
だって、無意味じゃん。子供ながらに大人が読書感想文を書かせるのは子供がちゃんと本を読んで理解しているかのチェックのためなんだろうと思っていたし、そんなの本当に読んで理解している自分がわかっていればいいことだと思っていた。
また、本当に自分がその本を読んで感じたことを書いたとしても、それを理解できるのは自分だけだし、たとえ他者が理解できるように書いたとしても、他者が「私が本を読んで感じたこと」を理解して一体何になるのかわからない。
「それを読んだ人がその本を読みたくなるように」書く、とかいうのもつまんない話だと思う。「面白いから読んでみて!」でよくね? そんなに努力してお膳立てしてまでその誰かをその本に巡り会わせる必要がどこにある? そこまでしないと読まないような人、もとからその本に巡り会う資格がないんではないの? 面白い本を探すのはこれセンスと努力。99%の努力と1%のひらめき。「面白い本あったら教えて」とか言ってるやつ、超むかつく。いや、話がそれたけど、内容をチラ語りすればするほど、映画の予告編だけが面白いみたいなことになるし。不可思議をちりばめ、飢餓感あおって、魅力的なキャラクタを配すれば、興味なんて簡単に惹けるんだよ。

だから私が書くのは「読書感想ブログ」でも「本の紹介ブログ」でもない。その本を「分析」したいのだ、私は。
多分それは「書評」とは違うのだろう。
その本が面白いか面白くないかじゃない。それを読んでその本を読みたくなんてならなくていい。その本が面白いのはなぜなのか、面白くないのはなぜなのか、その本を既に読んだ人が、読み終わった後にもやもやと感じていたものを、快刀乱麻を断つごとく、ばっさり切り落として見せたいのだ。
だから私の言葉はとぎすまされていなければならない。

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デビュー作をものすごけなした記憶がありますが。最近どうものりにのっているようですな。
やはりどうも現代物が向いている。ミステリというよりはホラー、サスペンスの方向性。
これもほぼミステリではありませぬな。けど面白かった。
『ラットマン』や『シャドウ』のように、中途半端な知識を嬉しそうに振り回し、それをメイントリックに持ってこようとすると読者は醒めがち。これは主なトリックは作中人物に対して作中人物が仕掛けているため、それが読者を醒めさせずにリアルな緊迫感を与えてストーリーにうまく引き込ませている。確か伏線は(逆の方向にしか)なかったので、読者に対してフェアであるとは言えず、ミステリではない。けど謎が解けていく感覚を感じさせるのは、倒叙ものだと思っていた作品形式が一転するからではないだろうか。探偵はいないものの、真相が明かされ、読者が信じていた図と地が逆転する。
うまい。けどミステリじゃない。けど、ミステリの方法論をうまく使って読者を物語に引き込んでいるなあ。

ちなみに、優秀賞の賞品はこれ

サンコ- スーパーゴロ寝クッション GOROSPRB

サンコ- スーパーゴロ寝クッション GOROSPRB

うちフローリングだし狭いんで…。欲しい人いたらあげます。