年末故に

いつも日曜は閉まっているはずの八百屋が開店していた。一瞬自分が日曜日を寝飛ばして月曜無断欠勤してるのかと思ったけど、多分、年の瀬だからだ。
昨日有栖川先生の講演会で、「はずれの本ばっかり読んでいるやつはセンスがない」という話をしていた。
ががーん。
多分、今出てるものを読んじゃいけないんじゃないかな。古典を読むしかないんじゃないかな。

もう一つ、会場からの質問で「よい本はどうやって見つけたらいいのですか」とかいうアホな質問をしていた女性がいて、私は有栖川先生の回答を聞きながら、「ああ、『下流社会』で言っていた現象が今ここに…」と思っていました。

さて、有栖川先生おっしゃるに、ミステリを語る言葉は未だ足りないのでは、とのこと。
ただ「面白い」「面白くない」では語るに入らない、「動機がめちゃくちゃ」「だからつまらない」となるのか、「だけど面白い」となるのか、その違いを語る言葉があまり使われてはいないのではないか、と。ブログで読書感想を発信している人は、その辺りの言葉をもっと開発してほしい、と。
「趣味を語る言葉が洗練されれば、趣味が洗練される」
当ブログでは、主に対象本をけなしまくることが多いが(センスの悪さを露呈しているわけですが)、書いていて自分ながらなんか他のブログと違うなーと思っていた。なんか、過剰、なんである。このブログ。他のブログを読んでも、自分が知りたい言葉が書いていないと感じていた。
このもどかしさはこれだったのかもしんないな。
ただ、このブログの言説はお世辞にも洗練されているとはいいがたいので、あいかわらず泥の中をはい回っている訳ですが。

はてなが混み合っているので引用なしで行きますが。
『ルルージュ事件』エミール・ガボリオ
ガボリオのことは、大学の授業で知りました。「探偵小説の社会学」とかいったゼミ。
でも当時確かガボリオの本は手に入らなくて、それが最近翻訳されて出てきました。
…意外にすっと読めて面白い。
本格というより(だって犯人があれをあれして平気なままでいるってどうよ、しかもあれが偶然あれってどうなのよ)、事件周辺のセンセーション(伯爵が昔妻の子と愛人の子を入れ替えさせた?!)の方に重きをおいた書きぶりなのだが、探偵役のタバレがホームズばりの鋭い推理を見せる場面があったり、手紙の消失の理由など、結構論理的に見えて楽しい。
翻訳のおかげかもしれないが、今でも十分ミステリとして通用する面白さだと思いました。