なぜ○○な作家ほど本が出るのか?

作者不詳―ミステリ作家の読む本 (講談社ノベルス)

作者不詳―ミステリ作家の読む本 (講談社ノベルス)

なんか読まなきゃなあ…と思っていた。

ミステリ作家がとある古本に出会う。その本の持ち主は次々に失踪するという呪われた本。
どうやらミステリかホラーの同人誌らしい。それを読むと怪異におそわれ、謎を解くまでつきまとわれる。
すべての謎を解かないと、どうやらこの世から消え去ってしまうらしい…。

という構成はいいのだが、いかんせん中身が伴ってない。
中の同人誌の作品=謎解きの対象となるミステリ が、どれもこれも読みながらわかってしまう。使い古されて腐臭のするネタをほとんどアレンジすることなくそのまんま使っているため、飽き飽きする。あーはいはいそれで? え? それだけなの? まじで? という感じだ。妊婦ネタとか殺人嗜好小説ネタとか。作者は編集者らしいのだが、これもえっとつまり編集しただけなんじゃないか? と問い詰めたくなる。

短編が連なって長編になる連作短編集や作中作ものは、えてしてその中身となる短編の一つひとつが浅く、やっつけやいい加減になりがちだとは思う。だからアイデアものといった感じがしてしまい、作品としてはプロットの構成が複雑な割には薄くなる。プロットが複雑だと文章量としてはとかく重厚長大になりがちなのに、中身はワンアイデアのやっつけの浅さ。…つまり、こういうのは読んでて非常にいらいらするのだ!

ワンアイデア、やっつけ、小説未満、といえば鯨だなあ…。と思ってちょっとググってみたら、今月も新刊が出るらしいですね。『なみだ特捜班におまかせ!』以来とんと読んでない。というか、そこまでパーフェクトに読んでる自分ばかじゃないのか。