そうだとも

 国的には頑なに「大型連休(いわゆるゴールデンウィーク)」と書いてあって笑えたのだが、ああ、そうだとも、どこにも出かけないさ。

 私はゲームが非常に苦手である。
 マリオ系のはジャンプして飛び移る操作が私の手に対する命令系統に存在しない経路を必要とするらしく、全然だめ。反応速度が遅いのでシューティングは無理。とにかくタイミング良くボタンを押すことが苦手で、あの「ブラボーミュージック」や「ファンタビジョン」ですらできない。
 ではRPGは、というと。ものすごく嫌いである。
 まずあの「戦闘」というのがものすごく怖ろしいので(本気)できない。とにかく怖いんである。何故だか知らないけれど本気で怖く、やられると心臓がどきどきして身体に悪い。しかも、マップとか全制覇したくなる質にも関わらず、地図が読めないという阿呆の二重苦で、無駄にうろうろして敵の危険をより多く感じる状況に自らを置いてしまう。そのため、RPGをやると常に緊張状態におかれ、ゲームをして「楽しんでいる」という精神状態ではなくなる。常にどきどきしており、敵に遭うとものすごく怯えてとにかくボタンを連打しアイテムを使いまくる。泣きそうなほど必死であり、泣いたら誰か代わりにやってくれるなら喜んで泣きたいと思っている。セーブに来ると本当にほっとして体中が弛緩するほどである。
 そしてあの長さ。殆どがマップ探索と戦闘にかけられる膨大な時間。もったいない。六十時間だと? 本がいったい何冊読めると思ってるんだ。嫌だ嫌だ怖い怖いと思っている苦痛の時間を六十時間? しかも二周目とかあるだと? これは何の拷問ですか?
 というわけで、RPGは全体的に苦しいことを長々とやらなければならない、という悪魔のシステムだと思っている。CMとか見ると楽しそうなんだけど、私が知りたいと思うストーリーや見たいと思うグラフィックを見るために、それに見合わぬ苦労をどれだけせねばならないか…。世間の人はなぜあれを楽しいと思うのか?

 というゲーム嫌いの私だが、先日知り合った友達から好きなゲームを聞き、次の日古本屋にいったらそのゲームがたまたま置いてあって、なんとなくやることにしたのである。

ベイグラントストーリー

ベイグラントストーリー

 バリ戦闘。バリ探索。徹夜。
 RPGのくせに戦闘は苦手の目押しだわ、マップを渡るのにマリオ風のジャンプアクションが必要だわ、私の嫌い要素目白押しでありました。ひどいよ。
 が、面白かった。戦闘が凝った作りになっているので、考える余裕が与えられてパニックにならず、怖さが二割減。そして何百回とやっているとさすがにタイミングを覚えてきて、決まってくると面白いとさえ思うようになった。そしてマップを渡るためにキューブパズルを解かなければならなかったりして、そのパズルにかなりはまった。
 これは、ゲーム苦手な人にゲームの面白さを教えるよい素材になるかも。
 …て、誰がそんなのを必要としているのだ?