頭痛い

久しぶりに「講義」に出たなあ。眠いよ。換気されないので頭が痛くなった。

ガラスの村 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-8)

ガラスの村 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-8)

これはエラリイものではない。
「シンの辻」というピューリタニズム溢れる崩壊している町。今ではそこに住む有名な画家の寄付に頼っていろいろやっている始末。人口は37人。子供も老人も全部含めてそれだけ。
 主人公は戦争から帰ってきて、何にも情熱を持てなくなってしまった元少佐。
 その村で、画家が惨殺された。
 唯一のよそもの、町に迷い込んだ浮浪者が容疑者とされ、町のみんなは彼を司法に渡さず自分たちで裁くつもり。昔下男が主人を殺したときに、正当防衛とされて無罪になったことを根に持っていたのだ。
 主人公達は、浮浪者を助けるため、偽の裁判をやって町のみんなをとりあえずなだめ、みんなが納得してから、「実はあの裁判は不備があったから無効だよ」と言って司法の手に渡そうと目論む。
 等の浮浪者は、自分は金を盗んだけれども殺していないと言う。
 さらに奇妙なことに、彼は「まきわりをして薪を作り、その報酬として食べ物を食べさせて貰った」と言うのだが、彼が作った薪はどこにもない。
 彼を犯人とするように、しかもばれないように不備をつくりつつ、奇妙な裁判は続く。
 その中で真犯人がわかってしまう。
 この解決はそんなに驚愕の論理、というわけでもなく、普通に考えればわかるという点で好感の持てるもの。
 この本のポイントは、探偵がエラリイではないところだと思う。

 ミステリは単なる「謎解き」ではない。
 「人間」が、世界を洞察する物語なのだ。