どうか

九杯目には早すぎる (FUTABA・NOVELS)

九杯目には早すぎる (FUTABA・NOVELS)

 いかんせんタイトルが魅力的すぎる。
 タイトルが魅力的であればあるほど、裏切られた時の傷も深いのだ。
 何度「これぞ究極の本格」「本格の最先端」「渾身の本格」と言った煽り文句に騙されても、また騙されてしまうのは、もう業とか性とかしかいいようがないと思う。一体私がかつてどんな悪行をしたというのだろうか…。
 表題作は、数ページの短編であり、本格でも何でもありません。
 一編目の「大松鮨の奇妙な客」。浮気する夫を尾行して欲しいという妻の友人の頼みにより、男を尾行すると、男は寿司屋に入り、寿司の上から茶碗蒸しをぶっかけるという奇妙な行動に出る…。というのは割と本格だが、他のは「奇妙な小説」と言った感じ。ロアルド・ダール西澤保彦を足して割り、ちょっぴり星新一をまぶしてみました。おや、何だか好きな作家ばかりが並んでしまったが…。

痙攣的

痙攣的

 え、さて。これ確か誰かが面白いとか言っていたから読んだような気がするんだが、気のせいだったのかな。
 このヒトのってトリックが異常につまらないのだった。そういえば。蘊蓄とか論理のねじれが面白かったのだが、これはあまり面白くない。ねじれた論理が推理に関してではなく物語の部分にいってしまっているので、つまらなくなっている。物語でねじれた論理が発揮されれば面白いんじゃないの、という当然の疑問が湧くとは思うが、物語そのものを面白くするにはそれだけのプロットというものが必要なのである。あと筆力と。

 最近の作品は、探偵が推理によって謎を解くのではなく、「実はこうだったんだよん」と作家が物語の種明かしをやってしまうものが多いように感じられる。
 それでもミステリになる場合もあるが、多くの場合はそれではただの「びっくり小説」になってしまう。ミステリとは推理なのだよ、ワトソン君。

Dearホームズ 1 (ボニータコミックス)

Dearホームズ 1 (ボニータコミックス)

 も読んでみた。うちではあさししんぶんをとっていて、そこで紹介されていたはず。
 うわー、たまげた。
 ストーリーはもちろん期待していないけれども、絵のあまりのあまりさには驚いたよ。これで商業誌で単行本で、いいんだ?