変身

の映画を観た。
http://www.henshin.cc/
東野圭吾の原作のほう。
…ものすごくつまらなかった。

この原作の本の面白味は、「記憶していた自分と違う」自分が徐々に表われてくるところなわけで、映画にしてしまうと、(どうやっても)その内面の戸惑いがうまく表現できないのではないかと思われる。
大体、映画化するなら「脳移植」という設定をなんとかしたほうがいいよ。観ている間自分内突っ込みがはげしすぎて集中できなかった。別にネタばれではないと思うけど一応伏せてみた。その続きでちょっと伏せて耳学問ではありますが、もし事故で右脳がふっ飛んだとしたら、移植なんかしないと思いますよ。まず第一の理由として生存能力に右脳の存在は必須ではないので。生存するため(呼吸や内蔵の制御なんか)に必要なのは脳幹であり、大脳皮質ではないからです。第二の理由は、大脳皮質が司ると考えられる思考や感情や記憶なんかは、左脳が無事に生き残っていればある程度は補償できるため。第三の理由に、だから思考や感情や記憶なんかは大脳皮質が司っていると言ってるのに、他人のものをつかうわけないだろ、と。スタッフもいっぱいいるんだから、もちっと科学的に根拠のある設定に変更できたんじゃないかなぁ…。

私には登場人物の心の動きが全然読めなかった。作り的に感情移入して楽しまないとだめっぽい感じだったので、結局面白くなかったと思われる。
あきらかに、「色恋」の方に重点がおかれすぎ。「違う自分の顕現」を表現するには、日常生活の細部をじっくりと描くしかないと思われるのだが、そちらの描写は非常におざなり(エピソードを数個挿入したのみ)な感じがして、微妙な違いを表現するにはもっとも不向きと思われる「激しい恋愛感情」ばっかりクローズアップされていた。
え…もしかしてワタクシが勘違いしている? 『変身』って、恋愛感情中心の本じゃなかったよね?


ついでに「ビッグ・スウィンドル!」も観た。
http://www.big-swindle.com/
韓国映画の「詐欺師」もの。
詐欺の話って実は好きなのだ。別にトリックを期待しているわけではないのだが(本格とは推理だよ!)…。
けれど筋書きはほとんど丸読めで、「騙し」的にはあまり面白くない。
登場人物それぞれの「物語」がそこそこ面白いのでまあまあ。
華麗な騙しを期待して観たので点が辛いかも。