生還

旅行って本を沢山持って行くけど読めないものだ。
飛行機の中では映画をやってるし、言葉を勉強したり予定について検討したり忙しいし、向こうにつけばついたで遊ぶので。
行きの飛行機では「チャーリーとチョコレート工場」と「ロボッツ」を見た。どちらも英語版しかやっていなかったけど。
チャーリーとチョコレート工場」は私は原作のロアルド・ダールがとてもとても大好きなので(おそらくはじめて作家読みをした作家だと思う)、昔に作ったほうの映画も見たことがある。それにくらべるとやはり技術の進歩した特殊映像は綺麗になっていたけれど、終わりがああとは思わなかったなあ。ワンカさんの過去とその解決…いかにも現代的ですなあ。それ以外は割と原作に忠実だったんだけど。あの栗鼠が本物とは思わなんだ。

で帰りの飛行機で読んだ本。

十二人の評決 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

十二人の評決 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

十二人の怒れる男』とは全く関係がない。
十二人の陪審のそれぞれの物語が第一部で書き込まれ、これがまた微妙に面白い。
第二部では事件の様相が描かれる。病弱な少年、その後見人として居座る意地悪な叔母。なんかみたことあるなあ…と思っていたら、少年がウサギちゃんにつけた名前が「スレドニ・ヴァシュタール」。おお、こりゃサキの某短編そっくりじゃないですか。と思っていたら、その少年がなんとサラダの中に入っていたツタの花粉の毒で死んでしまう…。犯人は叔母なのか…。
第三部が陪審の中身なんだけど、一度は事故との判定があっさり出て、それを家の中の本にツタの花粉の毒で中毒死した子供の事件の記事を見つけた家庭教師が疑問に感じて訴え出て再審。
 しかしこれがなんだかあっさりしすぎていてもったいなかったなあ。せっかくあれだけ背景を書いたのに…。もっと議論が紛糾してくれれば面白かったなあ。

そのあとの「真相」で驚きますぜ。
陪審員の判決は正しかった、し。ある意味では正しくなかった。どっちにしろ衝撃。

そして

檸檬色の猫がのぞいた(都筑道夫)
乳房に猫はなぜ眠る(川島郁夫)
猫に卵(津井つい)
愛の記憶(南部樹未子)
三毛猫ホームズの幽霊退治(赤川次郎)
猫(角田喜久雄)
猫じゃ猫じゃ事件(土岐雄三)
猫の手紙(岡沢孝雄)
猫つきの店(新田次郎)
猫騒動(藤枝ちえ)
「風邪ひき猫」事件(日影丈吉)
「風邪ひき猫」は本格。都筑センセイのはやっぱり都筑風。「乳房に猫は」は本格風だけどちょっと簡単すぎ。「愛の記憶」は物語として面白かった。「猫に卵」は星新一のショーショート選の一つで、奇妙な味わい。「猫の手紙」は面白かった。
 どれも昭和レトロな香りが濃厚。その意味で味わい深い。