春期限定いちごタルト事件

読んだ。
えええええええええええええっ。

なんかこれを「軽い楽しいミステリ」とか言って絶賛する声しか見かけないんだけど。
嘘でしょ。

私はこの主人公と主人公の相方、小鳩くんと小佐内さんがどうしようもなく嫌いだ。
「小市民になるんだ」だと?
てめえ心の底から小市民をバカにしやがってふざけんじゃねえぞ。
「能ある鷹は爪を隠す」じゃねえけど、「探偵するとみんなからうざがられるから高校で逆デビューします」なんて、めちゃめちゃ鼻持ちならないヤツだと思うけど。
みんなが絶賛するから、もっと「本気で」小市民を目指していて、でもなろうとすると自然に探偵やっちゃっててものすごく反省する、みたいなテイストを期待していたのに全然違う。
ヤツはもっと自覚的に、「探偵するとみんなに嫌われるから小市民になるぞ」と言っていて、探偵するのも「今回だけ外れるね」とか「ついつい血が騒いで」みたいな感じで積極的に自分に探偵をすることを許して探偵している。
決め台詞まであって血を吐き死ぬかと思ったぜ。

要するに。「本当は才能あるけど世間がうるさいから埋もれるふり。でも俺の才能はちょっとした事件でもすぐ噴出しちゃうほどありあまってるよん」みたいなテイストだと思うのだが。そこんとこどうなのよ。私がひねくれているだけなの?
吐き気がするほどの「選民思想」。
うぜえっつの。

そんでミステリ部分がよければ主人公がクソだろうがなんだろうが許したんだけど。
ねえ。

さよなら妖精』も『氷菓』も『愚者のエンドロール』も、どれもミステリが弱い。読んでて全部わかる伏線や謎を最後までとっとかれて冗長で稚拙な謎解きを読まされる読者の身にもなってくれ。それで青春小説の部分がよければまだ救われるのだが、どれも「小鳩くん」タイプの選民思想が透けて見える。どれも主人公が「俺は普通の人と違うんだ」と全身で叫んでる。
え…もしかしてその青臭さこそを「メタ青春小説」として読めって事か? 勘弁しろ。

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

愚者のエンドロール (角川文庫)

愚者のエンドロール (角川文庫)

氷菓 (角川文庫)

氷菓 (角川文庫)

さよなら妖精 (ミステリ・フロンティア)

さよなら妖精 (ミステリ・フロンティア)