勇気はない
先日図書館で『1/2の騎士』と『退出ゲーム』と『つばき、時跳び』を抱えている人を見つけて、どんだけナンパしようかと思ったことかしれないけれど勇気が出ませんでした。
- 作者: 辻村深月
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/04/07
- メディア: 新書
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AしなければBになる、と相手に言うことで相手にBを恐れる気持ちを利用してAをさせる「条件ゲーム提示能力」、呪いの力を持っている少年。うさぎを惨殺した犯人は、友達のふみちゃんの心を壊した。けれど反省していると言って、謝りたいと言ってきた。何にも興味がないと言っていた医学生の犯人(事件を起こして退学になったから、元)、ただ医学部に戻りたいからそういうふりをしているだけでは。彼はけっして反省などしない、そういう心の機能がない、「悪の王様」だ…。
同じ能力をもつ先輩の「先生」に、能力のことを教わることに…。
先生に能力のことを教わる、というカタチで能力の条件が詳細に規定され、さらに人の心に関する哲学的言説がえんえんと垂れ流される。最高だね。
これがミステリだ!
ひとの、思考、そのもの。
それが、ミステリだ!
少年が選ぶであろう「呪い」は、予想の通りなのだけれど、小学生がそこまで考えるか、というリアリティをまったく無視して怒濤のごとく展開されるミステリ的思考が素晴らしい。
あーあ、メフィスト賞、上中下を読むことになってしまおうとは…。