よけいなこと

雨が降っている。
少年チャンプルという番組が好きで見ている。今日は中高生のダンス選手権。
今までプロのダンサーのダンスが結構好きで見ていた。やはり日本人のダンスだな、という体の動きであって、黒人の体中に速筋が詰まっているような動きとは全然違うのではあるが、それはそれで好きだった。
でも、中高生のダンスは、全然違う。動きのキレが全然、まるで別の生き物みたいだ。
黒人の強靱なバネのような動きとも違い、ひたすらキレる、ひたすらしなやかな、本当に、薄刃の刃物みたいな、ダンス。引き替えて、大人のからだのどうしようもない鈍重さを、思う。もうこれは余生なのではないかな。生き物として。

風が強い。濡れてふやけた振り替え乗車券を手の中でくしゃくしゃにしないように丁寧に握り込みながら、私は今頃大変なことになっているだろう友人の仕事のことを思った。(鉄道会社は大変ですね)

『魂の駆動体』

魂の駆動体 (ハヤカワ文庫JA)

魂の駆動体 (ハヤカワ文庫JA)

めまいがした。
ロボットのようだったアンドロギアが魂を獲得した後の、世界が拓けていく感覚は圧巻だ。今までキリアの一人語りだった平坦なモノクロームの物語が、アンドロギアという他者を得て、対話という形式を獲得し、みるみる色がついて、立体化していく。世界が、起ち上がっていく。その様を、読者は体感する。
これほど完璧に、人間が認識する世界というものの生成を描き出した表現物を、私は知らない。