年月ということ

マザーの項で、「昔はあれはすごかったのだろう」と思った。
時がうつろうというのは、恐ろしいことだ。
昨日たまたま「ゴーストハント」というアニメを見てしまった。
私がお年頃の時のティーンズ用ノベルス(あの頃はライトノベルスなんて言ってなかったなあ。「文庫」だった。そういえば)で好んで用いられたモチーフがてんこ盛り。どの瞬間画面のどこを見ても記号、記号、記号。記号オンパレード。今になってみると記号しか見えなくて、あの頃はもしかしてその裏に何らかの厚みを夢想することができていたのかも知れないと考えると、地殻を突き抜ける程の穴を掘って自らを葬ってしまいたい気持ちに駆られる。
何を言っているのかわからないと思うが、十五、六年前子供だった人は見てみるときっとわかると思う。
例えば、主人公は元気な女の子。友達と放課後「怪談」をする。旧校舎は祟られているという噂。かっこいい先輩は実はゴーストハンター。他にもすれた感じの巫女や長髪の僧侶、おかっぱの霊媒師やら金髪碧眼で関西弁のエクソシストがでてくる。メガネをかけた三つ編みの暗い同級生は霊感が強いと言い張る。巫女は彼女を「自己顕示欲が強い」と切って捨てる。
なんとなくわかってきただろうか。
そしてまたひどくダメージを受けたのが、台詞だ。言っていることもやはり記号なのだが、それがもう、もはや大時代的な記号なのだ。
だってああた、「ナルシストのナルちゃん」とか、(暗視カメラについて)「こんなの使えるんだすごいね」「君とは頭の出来が違う」というやりとりとか、「渋谷なんて一等地に事務所が…」とか、信じられます? 冗談ではなくマジ台詞で言ってるんですぜ? その感性がもはや理解できなくなっている。

この衝撃は何なのか今ひとつ詰め切れていないが、「マザー」の衝撃と近いものがあるとは思う。
ただ、よってきたるところはわかっている。時の流れとそれによる感性の変化。それをつきつけられること。
それでどうしてこんなに不安定な気持ちになるのか…。もうちょっと詰めたい。

といいつつ、

ブレイブストーリー ~ボクのキオクとネガイ~

ブレイブストーリー ~ボクのキオクとネガイ~

を買いました。
イントロがあまりにも事務的にあっさりしていてびっくり。おいおい、妹の説明台詞が長すぎだよ。そして主人公は18才ならもうちょっと漢字を交えて喋ろうよ。ちゅうがっこうとか、かあさんがしんだとか、いい加減漢字で書けるよね?