それはつまりね

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なんじゃこりゃ。

「泣ける」RPGという宣伝文句を多々聞いたような気がするのだが、気のせいじゃないよな?
全然泣けない。どころか、そら恐ろしい。これのどこでどう泣けと? 不気味・理不尽・未解決の三拍子そろった後味の悪さなんだが…。どの文脈でどう泣けるのか、字句対照で詳細に教えていただきたいものである。エピソードにしたって、フライングマンとか、もはや恐怖対象ですぜ。ぜんなる こころ とか… きゃー、やーめーてーくーれー。

それはともかく、これが何だかとても人気のあるソフトであることは確かなようである。
それは何故か?
理由となるか定かではないが、今ファンサイトなどを巡っていて思ったのは、これが「面白いゲーム」とか「感動するゲーム」とかではなくて、「特別」なRPGであ「った」ということだ。
全くの外部から見てみるに、ファンの心を掴んだのは、アメリカの片田舎の普通の少年が主人公であることから立ち上がってくる、身近で現実的な(現実からはもちろん逸れているのだが、その逸れ加減が剣と魔法の世界のような「空想」的な逸れ方ではなく、パロディ的な逸れ方になっている)世界設定。そして台詞回しやコネタであるらしい。
今となっては、そういったパロディ的な逸れ、あるいは細部にこだわる「印象的な」台詞回しや、ヲタク気質をくすぐるコネタの多数埋め込みは、商業ベースのコンテンツに多数見られる要素(例えば『踊る大捜査線』『TRICK』『木更津キャッツアイ』など)となっている。「売れる」ための味付け要素にすらなっている感がある。

私自身はそういうノリが好きな人間である。
だけれど、このソフトで展開されているそれは、現在氾濫しているその手のものと比べても、そこまで「抜群のセンス」というわけでもないと思う。冷静に判断して。解決ついてないよとかいう苛立ちは無視して。純粋にセンスだけで。
例えばファンの人達が、「いちご豆腐って何だよ(笑)」という突っ込みを、素で、普通に、別に皮肉っぽくもなく、純粋に、用意されたネタに対する裏のない反射的な(おそらく、「気の利いた」と認識されていると思われる)反応として、言ってしまえるというのは、少なくとも私には理解できないセンスである。

要するに、「初めて」出てきたから、「特別」になってしまったということなんだろうなあ。時代の先駆者、大いなるヒットメーカ。あるいは時代の創造者という意味では、確かにものすごいんだろう。

ちなみに私はこいつが発売された頃、おそらくゲーム真っ盛りと思われる年代のお子さまだったわけだが、当時はゲームに全く興味がなかったので、やっていない。もしやっていたら、ファンサイトの方々のように、熱烈なファンになっていたのかもしれない…のかなあ。その頃読んでいた『マガーク探偵団』や『斜め屋敷の犯罪』が、こうして現在の私に至るまでの人格形成過程に、なんら影響を与えていないなんて、どの口だって言えないに違いない…。
初体験というのは、怖いものですことよ。