研修終わった〜

空を見上げる古い歌を口ずさむ (Pulp‐town fiction)

空を見上げる古い歌を口ずさむ (Pulp‐town fiction)

 読了。
 息子が突然「ひとの顔がのっぺらぼうに見える」と言い出した。二十年前に家族を捨てた兄と同じことを…。兄はそうなったら自分を呼べと言った。呼ばれて飛んできた兄が、語った昔の話。カタカナの名前のついた町で起こった、少年達の物語。
 突然人の顔がのっぺらぼうに見えるようになった。仲良しだった警察のおじさんが自殺した。兄はその時男がそばにいたのを見ているのだが、顔がわからない。その後も不審な死が続く。そして、顔が見える人を見つける。どうして彼らは兄に対して奇妙な反応をするのか? 続く人の死の真相は? のっぺらぼうの理由はなんなのか?

 設定からすると好きな話かな〜と思ったのだがそうでもなかった。
 これはミステリじゃなくてファンタジーだろっ。だって謎がなんにも解決されないんだもん。

 「ミステリとはマジックではなくロジックが支配するファンタジーである。」(by私)
 という言葉を知らないのかっ(阿呆か)。

 ではミステリではなくファンタジーとしてどうかというと、それでもつまらないのだな。この話は、ファンタジーというよりはSFに近い感触で現実に軸足が置かれており、ファンタジー的に背景が説明されない。故にファンタジー的な仕掛けも物語性も存在し得ず(終わりのところにちょっと書かれるだけ)、まったく面白くない。まるで、中学生が読んだばかりの旧タイプのラノベに影響されて考えた「オリジナルファンタジー」を読まされているような、軽薄さと不完全さにめまいがする。だから、商業出版のレベルってものを考えない? いいかげんさあ。
 当時のメフィスト賞が好きそうな話だな。やっぱりメフィスト賞は嫌いだ。