だから

七月七日

七月七日

 これは傑作だ。
 このブログで手放しで賛辞を寄せた作品は確かなかったと思ったが、これはもう。

 物語が巧みで考察が鋭くて、とにかく完璧だ。私は読書記録をつけていて、あらすじや考察をまとめているのだが、この作品に関してはまとめきることができなかった。普通なら話の流れをざっと描き、複数の思考を一つの文章でまとめて、残りは読んだときに思い出せると切り捨てられるのだが、この作品に関してはできない。密度の高い文章と突き詰められた考察。そこに切り捨てる余地は存在しない。

 設定から背景から、エピソードから、すべてが物語の中に有機的にとりこまれており、どう取り出しても物語を損なわずに概要だけを伝えることはできない。私は主人公の人種と仕事くらいを知って読んだが、それすらも知らずに読んだほうがいいと思う。
 とにかく読むべし!